悲しいライオン

(どうして、私はいつもここでじっとしていなくてはならないの?)

もともと、快活な性格の彼女です。
群れを離れ、雄ライオンの帰りを待つだけの生活は、彼女にとっては少し物足りないものでした。

どんなに最高の所に住んでいても、どんなに美しくなっても、それを見てくれる人が傍にいないのです。

(ねぇ、誰か、私を見て・・・)

そんな気持ちが、彼女の中に芽生え始めていました。

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