極悪彼氏
夢羽の親に挨拶に来たんじゃなく、想羽さんに挨拶に来た。



案内されたのは、和室にある仏壇の前。



ロウソクに火を着けてくれた夢羽の母ちゃんに頭をさげ、2年目にしてやっと線香をあげた。



飾られてる遺影は、俺が知ってる想羽さんの笑顔。



「想羽、アンタのこと心配してたよ」

「知ってます…」

「大丈夫みたいじゃん。ここに来れたなら」

「夢羽のおかげですよ」

「話には聞いてたけど…マジでイケメンじゃん。アンタ男?ってか夢羽の男?あっ、野暮?歳取るとさぁ、若者の恋愛事情ってのが気になんだよね~…」



よく喋るな…。



想羽さん、母親譲りの性格だったのか…。



「それよりアンタ、またケガしたの!?」

「ちょっと切っただけだもん…」

「やられたらやり返せって何回言ったらわかんだよ。20倍返しは基本だってガキの頃から教えてんのに…」



想羽さんがあんな風に育った意味を今理解した。



母ちゃん最強。



よく夢羽がこんなにヘナチョコに育ったと思うくらいだ。



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