極悪彼氏
でもそれって俺をメインにした考えで。



少し嬉しいとか思ってしまう。



「いい加減帰れ」

「はいはい、帰りますよ~。また会いに来るから」

「来なくていい」

「冷たいなぁ~…。一緒に暮らそうよ」

「うっせぇボケ。アンタといると俺の体調が悪くなんだよ」

「考えといて。俺だって寂しいんだからさ」



半年ぶりに会いに来て言うセリフかよ。



コーヒーを飲み干したオヤジは夢羽によろしくとだけ言って帰った。



何とも言えぬモヤモヤ状態。



それに気づいたのは夢羽だった。



「悪い人じゃないね」

「…………どうだろうな」

「今日も泊まろ~」

「は?」

「外出んのめんどくせぇ!!」



俺のマネをしたのか、ちょっと得意げな顔。



ムカつくくらいカワイイなんて、俺もおかしいんじゃないかと思う。



その日、夢羽はずっと俺のそばにいた。



母親は本当に理解のある人で、今回も俺んちに泊まることをOKした。



今夜もベッドに入り、夢羽を抱きしめる。



「離れたくねぇから…。このまま住めよ…」



そう言った次の日、当たり前のように夢羽は動揺していた。



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