極悪彼氏
授業なんて受けてられなくて、走って向かった保健室にはゲンさんがいた。



「ムーか」

「コタローは!?」

「ん」



ベッドに座ってるコタローからは笑えない雰囲気。



こっちを見もしない。



「コタ、いてぇだろ」

「逝った、確実逝った」

「マジかよ…」

「歩いて病院とか、マジでめんどくせぇ」



どうしたの…?



痛いの…?



「それにしても顔だけはキレイだな…」

「顔がボコボコだとやられた感たっぷりで悔しいから守った」

「悪かったな、気づかねぇで…」

「別にいい」



なんて話しかけたらいいのかわからない。



気づけば手が震えていた。



あたし…怖かったんだ…。



「ムーになんか言ってやれよ。いちばんに気づいたの、お前だろ?」

「教室戻っとけよ。みっともねぇから」

「ムー、わりぃけどコタがカッコつけたいんだとさ。連絡すっからお前は待機」



仕方なく教室に戻った。



コタローのあんな姿初めて見た…。



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