極悪彼氏
ドンッと背中に軽い衝撃。



痛くはないけど不快。



「あなたがコタローだったの?」

「離せ…」

「ヤダ!!やっと会えたっ…やっと…」



は…?



何泣いてんだよ。



さっきは脅されたって泣かねぇって言い張ったくせに。



「離さねぇとマジで売り飛ばすぞ」

「そんなことっしない人だもん!!だって…お兄ちゃんの…」



『お前、弟みてぇだ』

『俺が想羽さんの?』

『よし、今日から俺をアニキと敬え。いろんな術を伝授してやる』

『ヤダ。想羽さんに似たらモテねぇ』

『あははっ!!お前くらいだよな、俺にそんな口叩くの!!じゃ、42戦42敗の弟よ。また明日な』



「大事な人でしょ?」

「知らねぇよ。死んだヤツに何ができんだ…。代わり?そんなもん望んでねぇ」

「お兄ちゃん最後までコタローのことっ」

「テメー、それ以上言うなら女だろうが容赦しねぇぞ」

「…………」



俺にしがみつく力が弱まった。



その隙に振り切って廊下に出て。



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