極悪彼氏
それから部屋に来たいと言ったコタローを初めて部屋に入れた。



珍しいものでもみるようにキョロキョロ。



「ここで寝てんのか…」

「そうだよ」

「クマ…」

「それ、小さい頃サンタさんにもらったの。カワイくて捨てられなくて」

「サンタなんか来たことねぇ」

「そうなの?現実主義」

「誕生日もクリスマスもプレゼントなんてもらったことねぇな」



それはあのパパがコタローに何もしてくれなかったって意味?



前に会った時はそんな感じじゃなかったのに…。



「コタローは京太郎さんとふたりで暮らしてたの?」

「小学校入る前から」

「そっか」

「女が来る日は部屋に引きこもってた」

「えっ…?」

「俺は世に出ちゃいけないから」

「そんなことないもん…」

「そうか」

「そうだよ…」



コタローが寂しそうで…この人のそばにいたい。



あたしがずっと一緒にいてあげる…。



そういう思いも込めて抱きついた。



「あたしにコタローは必要だからね…」

「おぅ」



大好き…。



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