極悪彼氏
小さく見えたコタローがスルッと髪からシュシュを引き抜いた。



「ん?」

「長い」

「嫌い?」

「いや?」

「じゃあ好き?」

「あぁ」

「なら切らない」

「そうしろ…」



コタローの優しいキスが大好き…。



やっぱりコタローは小さくなんてなかった…。



「プールくせぇ…」

「コタローのために飛び込んだのに」

「自分のためだろ」

「コタローがあたしとどうしてもデートしたいからじゃん」

「シャワー浴びて来いよ」

「やらしいこと考えてる?」

「もちろん」



どうやったら逃げられるのかな…。



どう頑張っても逃げられないのかな…。



あたしもシャワーくらい浴びたかったんだけどさ。



「ひとりでいてもヒマでしょ?」

「寝てる」



そう言ってあたしのベッドに横になったコタローは本当に寝そうなので。



ゆっくりシャワーを浴びることにした。



寝たら当分起きないだろうし。



逃げられそうだ。



< 209 / 480 >

この作品をシェア

pagetop