極悪彼氏
馬鹿力っ…。



一瞬肩が外れるかと思った…。



「俺の目の届く範囲で何かできると思うなよ?」



ボソッと低い声でそう言われた。



声が想羽さん…。



声帯ってのは確かに似るとは思うけど…。



本当に想羽さんに言われたような気がした。



「鈴原の言うこと、あんまり気にしないで」

「なんでですか?」

「想羽君がいた頃はもう少しマシだったんだけどね」



リクの父、真崎さんによると、夢羽しか守るモノがなくなってしまったからだと。



納得してしまった。



だけど俺だってハンパな気持ちで夢羽といるわけじゃねぇ。



「鈴原さん」

「なんだい?コタちゃん」

「俺だってアイツを守りたいから」

「えっ…?」

「甘く見ないでください。本気じゃなかったら想羽さんの妹になんて死んでも手は出さない」

「コタロー…」

「まだガキだし、いろんなことわかってねぇけど…俺だって夢羽を大事に思ってます」



宣戦布告。



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