極悪彼氏
だから聞きたいことも聞けない。



お兄ちゃんとの思い出を気安く他人に話したりしない人だ。



「渚、こんなのいいのに」

「だって妹のお祝いじゃん。ありがたく受け取ってよ」

「無理すんなよ?金ねぇんだから。そろそろ男作って貢いでもらえって」

「あははっ!!」



鈴原の名前を名乗ってる渚ちゃんはあたしの尊敬するひとり。



大好きな渚ちゃん。



いつも笑ってる。



お兄ちゃんのお葬式でも、渚ちゃんは泣かなかった。



『想羽の最後の女になれてよかったよ。あっちで浮気したら殺すからな』



そう言ってひとりで泣いていたのは、みんながいなくなってから。



きっと、本当はすごく寂しい。



今でもひとりでいるのは、お兄ちゃんを忘れてないから。



「おっ、渚」

「おかえり~!!仕事忙しそうだね」

「お前はどうだ?」

「食ってくだけで精一杯」



帰ってきたパパも渚ちゃんを心配してる。



渚ちゃんは本当の娘なんだって。



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