極悪彼氏
あたしだってコタローのすべてを理解してるわけじゃない。



助けたい時に助けられないことだってある。



「京太郎さんとの関係はうまく行ってた方がいいと思いますけど…」

「けど?」

「コタローの本心がわからないので何とも言えないです…」

「昔はカワイかったんだよ?素直で健気で。俺のこと『父ちゃん』って呼んでて」

「あのコタローが?」

「うん、もう一度時間が戻るなら力一杯抱きしめてやりたいよ」



そう言った京太郎さんの目は本当に寂しそうだった。



今更気づいても遅いのかもしれない。



コタローの中では京太郎さんに見切りをつけてるのかも。



だけど…ふたりが仲良くなってくれるのが理想ではある。



京太郎さんにケータイの番号を渡されて家に帰った。



眠ってたはずのコタローは起きてて不機嫌。



「勝手に出るんじゃねぇよ」

「ごめん」

「なんにもなかったならそれでいい」



あたしにはあんまり外に出歩いて欲しくないんだよね…。



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