極悪彼氏
ムカつく。



ムカつくんだけど。



やってもねぇこと疑われんのは嫌いだ。



食いかけのチョコを奪い取ってテーブルに叩きつけた。



どうしようもなくイライラする。



「ふざけんなよ夢羽」

「痛いっ…」

「俺がいつお前を裏切った?」

「離して!!コタが疑われるようなことしてんじゃん!!」



握った腕に無意識に力が入った。



疑われる?



勝手に疑っただけだろ。



「どんな時でも信じろ」

「ムリ言わないでっ!!」

「お前がいなくなったら俺はどうすりゃいい?バカみてぇに夢羽が大事なのに」

「だい…じ…?」

「俺はお前にウソなんかつかねぇ!!」

「だって…あたしが知らないコタがいたら不安になるでしょ…」



ポロッとこぼれた涙。



我慢強いくせに俺で流した涙だ。



俺が夢羽を泣かせた。



泣くほど俺が好きか…。



「俺のこと、嫌いか?」

「好き…」

「じゃあ問題ねぇ。お前は俺だけ信じてりゃあいい」



泣きながら頷いた。



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