極悪彼氏
口の中が火事っ!!



ビリビリを通り越して失神しそうっ…。



「あっ、間違った。こっちがお前にやるヤツだった」

「痛い~…」

「で、名前なんだっけ」

「夢羽」

「ムーか。想羽さんとは仲良かったんだな」



ネックレスに目をやり、懐かしむように言った。



悪い人には見えない…。



「ゲンさん…?」

「なんだよ」

「お兄ちゃんのこと、知ってるんだね」

「そりゃあよくしてもらったから。俺もコタも、想羽さんは尊敬してる」

「でもコタローは…」

「想羽さんがいなくなって、コタがあんな風になった」

「えっ?」

「相当可愛がられてたからな。コタは想羽さんがいない今、どうしたらいいのかわかってねぇんだ」



お兄ちゃんが心配していたことだ。



最後にあたしに言った不安。



それはやっぱり的中していて…。



「ムー、コタをどうにかできるか?」

「わからない…。でもあたしがここに来た意味はそれだから!!」

「ならコタに会わせる。その代わり、何を見ても、何を聞いても目を瞑るな」



あたし…コタローを助ける。



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