極悪彼氏
【琥太郎】



マジでくんなよ…。



ついでとはいえ、娘の彼氏の授業参観だぞ…。



「この問題わかる人~」



チラッと夢羽母を見たら指で黒板をさされた。



俺にやれって言ってんのか!?



見なかったことにしよう。



「誰もいないのか~?緊張しないでいいんだぞ~」



数学教師のここぞとばかりの冗談は当たり前のように空回り。



今日に限って応用なんかやりやがって、全員わかってねぇんだよ。



バカか。



「はいは~い!!」

「はい!!誰かのお母さん!!」

「コタローが解きま~す」

「小田切君の保護者でしたか!!じゃあ期待に応えなきゃな~」



ふざけんなジジィ!!



保護者じゃねぇし!!



チョークを持ってきた教師はムカつく顔で俺の返事を待っている。



いつもならふざけるなと言って教室を出るだろう。



だけど今はあの最強母ちゃんが期待の眼差しで俺を見てやがる!!



「わかんないならわかんないって言っていいぞ~」

「わかるっつーの…」



やってやるよ。



< 311 / 480 >

この作品をシェア

pagetop