極悪彼氏
死んだら全部終わりだ。



『想羽さん、腹減った』

『家帰れよ。金持ちなんだろ?』

『腹減って動けない』

『渚、コタローにメシ食わせてやってくれ』



渚さんと同棲してた想羽さんちに入り浸っていた。



フラッと出て行って、気まぐれで帰る俺を渚さんはクソ猫と呼んでいて。



暖かいメシを食わせてくれて、布団に寝かせてくれて。



俺には想羽さんが居場所だった。



本当の兄貴みたいで、デカくて暖かくて。



俺の全ては想羽さんだった。



『コタローは好きな女いねぇの?』

『いる。日替わりで』

『お前が帰んねぇ日は女か…』

『よくわかんない。好きって』

『渚に惚れたら埋めっかんな』

『新品がいいし、想羽さんと兄弟なんて…オェッ…』

『渚はいい女だろうが!!アイツは俺の全部だ』



そう言っていた想羽さんは本当に幸せそうだった。



いつか俺もそう思える相手が欲しいと思わせてくれた。



それが渚さん。



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