極悪彼氏
想羽さんが逝ってしまってからは1度も会ってない。



会えない。



自分がどんな風になるのかわからなくて、きっと怖いんだ。



「もういいだろ、出て行けよ」

「よくない!!あたしはコタローにまともになって欲しいからっ…」

「まともだ。正常、通常、コレが俺」

「あたしの中のコタローは…いつも笑ってたもんっ…」



何で泣くんだよ。



マジでめんどくせぇ。



「会ったこともねぇのに、勝手に美化してんじゃねぇ」

「コタローはそんな人じゃない」



プツッと頭の中で音がした。



限界。



最終手段。



「いっ…」



ソファーに押しつけた小さなカラダ。



どうすりゃ俺の前から消えんだよ。



「想羽さんの妹?テメーに俺の何がわかる」

「知らないよ!!今のコタローは…知らない…」

「出しゃばるのもいい加減にしろよ」

「あたしっ…コタローと同じでお兄ちゃんが大好きだったから…」

「黙れ」

「お兄ちゃんは今のコタロー見たら怒るよ…」

「黙れっ!!」



無意識に入れた力は、細い腕を折れそうなほど締め付けた。



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