極悪彼氏
黙った夢羽からは啜り泣く声が聞こえた。



「何で泣くんだよ…」

「コタローが…素直にならないからっ!!」

「えっ?」

「心配なんでしょ!?本当はそばにいたいんでしょ!?」



いちゃダメなんじゃねぇの?



だって俺…。



「コタローにとって、たったひとりの家族でしょ!!」

「家族…」

「京太郎さんだってそばにいてほしいはずだから…」

「わかった…、そうする」



いや、俺がそうしたい。



夢羽との電話を切って、病院の中に入って数分。



マネージャーがやってきた。



「病状は!?」

「まだなにも…」

「聞いてくるから琥太郎君は座って待ってて!!」

「うん」



少し落ち着いている自分にホッとした。



一瞬パニックになったんだと思う。



救急車の中とか、よく覚えてねぇ。



しばらくして戻ってきたマネージャーの顔を見て、また気が抜けた。



「検査はするけど、たぶん睡眠不足と過労だって」



よかった…。



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