極悪彼氏
夢なんか見ない。



どれくらい寝たかもわからない時。



「コタぁ?」



情けない声が聞こえて目を開けた。



なんか…起きてるし。



「何なの、これ…」

「過労と睡眠不足」

「病院?仕事…穴開けちゃう~…。全然動ける気がしない~…」

「3日ぐらいおとなしく寝とけ。頭とか調べてバカかどうか診るってよ」

「バカだけど~…。やばいなぁ~…」



頑張りすぎて俺をひとりにすんなよ…。



家帰って、誰と口げんかすりゃあいいんだよ…。



やっと…親子っぽくなったのに。



「ふざけんなよ。自分の力量見極めねぇからこうなるんだろ?」

「あははっ、そうだね」

「マジ…ふざけんな…」

「琥太郎、泣くのは俺が死んだ時にしてよ。ありがとう」

「マジ…ムカつくっ!!」



泣きたくなんてなかったのに。



夢羽と出会って、俺は泣き虫にでもなったんじゃないだろうか。



安心の涙が…勝手に出て止まらない。



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