極悪彼氏
【琥太郎】



世間ってのは思ってたよりもしつこい。



俺なんかどうだっていいだろ。



『小田切さんに似てますね~』

『あたし、モデルさんかと思いましたよ~』

『芸能界での活躍が期待されてるみたいですけど、そのことについて小田切さんはノーコメントだそうですね』



俺がオヤジと同じ職業?



バカか。



そんなタイプじゃねぇだろ。



「コタ、期待されてるけどやらない?事務所は歓迎だって」

「やるわけねぇだろ」

「だよね~。学業に忙しいって言っておいた」



隠し子騒動は治まる気配がない。



オヤジはのんきに仕事を再開し、俺は未だに家からでれない。



そういや、期待されたことなんか今までなかったな…。



「とにかく俺、今日から帰んない」

「了解!!」

「ムリすんじゃねぇぞ」

「わかってるよ。しんどい時は休みます!!」

「じゃあな」



逃げるように別荘へ向かった。



家を出た俺、久しぶりにカメラに囲まれる。



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