極悪彼氏
これが鬱陶しいから出なかったわけだ。



「琥太郎君だよね!?お父さんは家にいるのかな!?」

「いるんじゃないですか?」

「同じ事務所に入るって噂は本当!?」

「急いでますんで失礼します。父が有名なだけで、僕は一般人なんで、できればそっとしといてくださいね」



ニコッと笑った自分に鳥肌が立った。



僕とか、マジ気持ちわりぃ…。



今のはイズルになってみた。



最高にうぜぇ。



バイクで行きたかったけど、追いかけられるのがイヤで走って逃げた。



夢羽の家についてやっと解放された気分だ…。



「コタローじゃん。久しぶりだな」

「うん」

「お前、すげー騒がれてっけど平気か?」

「別に悪いことしてねぇし」

「そうだな、胸張ってるコタローカッコイイじゃん。今夢羽呼んできてやる」



夢羽の母ちゃんはやっぱり好きだ。



オヤジのファンのくせに、そのことより俺という人間と接してくれてる。



「コタち~ん!!よく出てこれたね」

「マジうざかった」

「じゃあ憂さ晴らしに行きますか!!」



一刻も早く逃げたい。



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