極悪彼氏
知らぬ間に気を張っていた。



家に帰り、何もする気になれない。



ソファーに座って開いたケータイ。



夢羽の番号を出して、どうせ繋がらないのに、通話ボタンを押せない自分…。



「ハァ…」



少しでも夢羽の声が聞けたなら…。



今すぐ眠れて、疲れなんかふっとぶのに…。



俺のガキは元気か?



まさか泣いてんじゃねぇだろうな…。



会いてぇな、夢羽…。



リクからもらった別荘での写真。



そこにいる金髪のヒヨコは笑っている。



無意識に写真を指でなぞり、夢羽に触れてみた。



『コタロー!!デートしたい!!』

『大好き…』

『バカコタ~…』



お前の声が耳にずっと残ってんだ。



離れない…。



会いたくて、触れたくて…。



想羽さんがいなくなった時みたいに…もどかしさが溢れてる…。



「悩める少年発見」

「オヤジ…」

「初日から2つもお疲れ~。どうだった?」

「疲れた…」

「ねぇ、夢羽ちゃんちの場所教えてくれる?」



夢羽んち?



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