極悪彼氏
何もやりとげてない。



誇れるものがない。



俺にはまだ…なにもないから。



「正直、今のままこの仕事やってていいのかって思う」

「人気商売だからな」

「向いてるかどうか、まだ何も試してない。今、俺は夢羽を胸張って迎えにこれない」

「そうか、それがわかっただけでも成長してんじゃねぇか」



俺がしなきゃいけないことが見えてないから。



今はまだ時期じゃない…。



「何ヶ月かかっても、何年かかっても…夢羽を迎えに来るから」

「あぁ」

「夢羽に会ったら…揺らぎそうだから…もうここには来ない」

「お前が迎えに来た時、他に男がいても文句言うなよ」

「それはっ…させねぇよ、そんなこと」

「わかった。それがお前の決意だな?」



これが俺の決意。



書いてきた手紙を渡してもらうように言った。



苦労させるけど、できるだけ早く迎えに来る。



ちゃんとした男になって、必ず来るから。



その時まで…俺のもんでいろよ?



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