極悪彼氏
それから俺は安い仕事はことごとく断った。



自分が『小田切 琥太郎』と言うブランドになる。



簡単に自分は売らない。



安く見られたくない。



「琥太郎、子供のこと、どう説明する気?」

「ありのまま。社長もそれでいいって言うから」

「そっか。これからバッシングの嵐だね~」

「俺ならいくらでも傷つく覚悟はできてんだ」

「さすが俺の息子。やることバカ」

「オヤジに言われたくねぇ」



しっかりしろ、俺。



何のために自分が生きてんのかよく考えろ。



夢羽に人生のすべてをやる覚悟はできてる。



「いいドラマ出る憎たらしい息子に朗報」

「なんだよ」

「夢羽ちゃん、あれから落ち着いてるって」

「なんでオヤジがっ…」

「挨拶行くって言ったじゃん。修羽さんと絡取ってるもん」



いつの間に…。



でも落ち着いてんならそれがいちばんいい。



俺はこれから、夢羽に元気な姿を見せ続けるだけだ。



それが今の俺にできること。



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