極悪彼氏
せっかく痣が薄くなったのに!!



またあんなに痛いのはヤダっ…。



口の中に広がる鉄の味。



掴まれた髪の毛の痛さ。



「痣なんか消えちゃうしね」

「ちょっ、ヤバくない?」

「これくらい平気でしょ。ちょっと傷つけるだけ。むしろ整形?」



取り出されたカッター。



そんなことするの、絶対おかしいよっ…。



「やめてっ…」

「じゃあ学校やめる?」



コタローに会えたのに…?



やっとコタローの心に触れられたのに!!



「なにされたって…絶対やめないっ!!」



その言葉は怒りを買い、顔つきが変わるまで数秒。



近づいてくるカッターに目を閉じて覚悟を決めた。



「ヤダ、何してんの?」

「邪魔すんなっ…」

「あたしら邪魔なんだってよ、ゲンちゃん」



ゲンさん…?



静かに目を開けると、ゲンさんは女の子に絡みつかれていた。



この前の女の人だ…。



「エグいよな、女のイジメって」

「そうだね~。あたしはそんなバカじゃないけど」



助けて…。



< 42 / 480 >

この作品をシェア

pagetop