極悪彼氏
コタローの字は意外とキレイだった。



『辛い思いもさせるけど、お前が寂しくないように頑張ることにした。
いつも俺だけ見て、他は見なくていいから。
苦労させるけど、次に会うときは迎えに行く時。
それまで浮気しねぇでガキの世話でもしとけ。
必ず迎えに行く。
その時はきっと俺もお前も少しは大人になってるはずだ。
幸せにしてやるから。
俺の子供、お前に任せた。
口では死んでも言わねぇ、………………

琥太郎』



この手紙がなきゃ、あたしは今どうなっていたかわからない。



コタローを信じて、想太郎とずっと待ってるんだよ…。



学校が終われば、想太郎を迎えに行き、家に帰る。



「「ただいま~」」



ママがパパの仕事を手伝っているので、最近は帰りも遅い。



でも寂しくない。



帰ったらすぐにつけるテレビ。



だって、いつコタローが出るかわかんないでしょ?



「ママ、パパの。見たことないの」

「うわっ!!新しいCMじゃん!!」

「カッコイイ~、僕のパパ」



想太郎のテンションが唯一あがる瞬間だ。



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