極悪彼氏
ひとりで耐えてるんじゃないと気がついたあたしはまた耐える。



想太郎と一緒に。



そんなある日、今年の映画ですごく名誉ある賞を受賞した。



リアルタイムでそれを見ていたあたしと想太郎。



『この気持ちを誰に伝えたいですか?』

『今は亡き、兄と慕った人と…今から5年ぶりに迎えに行く彼女と、まだ見ぬもうひとりの自分です』

『それは…噂の…』

『ちなみに、5年放置してたんで振られるかもしれないですけどね。その時はまたデッカく新聞の一面飾りますんで』

『わかりました!!これからも頑張ってください!!』



今…なんて…?



迎えに…?



「パパ…よくわかんない…」

「あたしのことなら…今から来るみたいなこと…言ってた…」

「じゃあパパ来るの!?」

「いや、来ないかも…」

「どっち…?」

「来る…かな?」



ソワソワすること2時間、夜中だというのに寝ない想太郎。



鳴ったインターホンに、玄関へ走った。



「結婚すんぞ」



夢なら覚めなくていい…。



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