極悪彼氏
新しいテーブルに買ったばかりのグラスがふたつ。



「おいしぃ~!!」

「お前、強いのか?」

「弱くないみたいだよ。お酒は結構好き」

「ふぅん…」



何にも知らない…。



むしろ他人みたいだ。



俺が好きだった夢羽はどこに行った?



「明日仕事なんだよね?」

「あぁ」

「早く寝た方がいい?」

「別に…」

「コタロー?」

「ん?」

「あたし、誰にも触られてないからね」

「えっ?」

「ずっと信じてた。たまにおかしくなったけど…あたしにはコタローしかいないって…思ってたよ…」



俺の選んだ道はた正しかった。



ガラにもなく一途に夢羽を好きでいて、今報われた気がする。



「あたし、コタちん大好きだもん」

「ははっ!!変わってねぇな」

「想太郎には悪いけど、今はコタローの時間。いっぱい抱きしめて?」



そんなこと言われたら…5年分愛したくなる。



あり得ないほどキスして、抱きしめて、大人になった夢羽を全力で抱きたいと思う。



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