極悪彼氏
賑やかだった実家を後にして、次の目的地へ向かう。



後部座席で寝てしまった想太郎をミラーで確認してから安全運転を心がけて。



「元気そうでよかった」

「相変わらずうるせぇヤツ」

「でも、離れてた時にはちゃんと京太郎さんが支えてくれたんでしょ?」

「まぁ、その点では感謝してる」

「変わった親子」



楽しそうに笑う夢羽。



お前がいなきゃ、オヤジとも向き合わなかった。



こうして孫の顔見せに行ったりなんて、絶対しなかったと思う。



やっぱり夢羽は俺の中で偉大だ。



「コタローは本当のお母さんに会いたくないの?」

「会った。4年前にな」

「へっ!?」

「女優やってんだよ、俺の母親。偶然テレビ局の廊下で再会」

「それでどうしたの?」

「挨拶した」

「それだけ…?」

「それだけ」

「信じらんない!!人としてどうなの!?」

「俺も公にはしたくねぇから。美咲にも悪い気がするしな」



誰が俺の母親かってのは世間も知りたがってる。



でもソレは俺が墓場まで持って行くヒミツだから。



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