極悪彼氏
別に俺は実母に何も求めちゃいないし。



むしろ今更出しゃばられても困る。



だからこのままでいいんだ。



「着いた」

「想、起きて」

「抱っこして行くか」



着いた場所は想羽さんが眠る場所。



ずっと来たかった。



夢羽と、想太郎を連れて。



俺を夢羽に引き合わせてくれたのはやっぱりあんただろ?



「想羽さん、会いてぇな…」



今の俺を見たらなんて言う?



こんなに毎日が充実してる。



笑えるし、泣けるし、一緒に苦難を乗り越えてくれる家族もできた。



「渚ちゃんと梶君、来年結婚するって」

「マジかよ」

「うん、きっとお兄ちゃんも祝福してくれるよね?」

「笑ってんじゃね?渚さんは一生想羽さんを忘れることはねぇしな」



俺は俺の人生を歩んでるよ。



想羽さんに教わったことはちゃんと心にある。



「コタロー、コレ…もらってくれる?」

「コレって…」

「お兄ちゃんの形見」



想羽さんの…。



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