極悪彼氏
渚さんと結婚する前に付き合った時から身につけてたペアリング…。



ふたつ揃ってるって…。



「コレをあたしとコタローで着けるの。結構古くなっちゃったけど」

「渚さんは…いいのか?」

「結婚指輪が渚ちゃんへの形見だもん。お兄ちゃんを引きずることになるから、渚ちゃんにはあんまり残したくないって言ってたの」

「大事にしてたもんだろ…?」

「だからコタローにあげたい。お兄ちゃんも喜んでるよ、きっと」



受け取った指輪の重み。



これは想羽さんからの最後のメッセージだと思う。



自分が渚さんを幸せにできなかった分、妹である夢羽を幸せにしろと。



そう言う意味だろ?



フワッと吹いた風が想羽さんの返事のように感じた。



「パパ?叔父ちゃんのお墓…?」

「お前と来るのは初めてだな…」

「どっか痛いの?眠いの?パパ、泣く…」

「バカか。泣くわけねぇだろ。男ってのはハンパなことじゃ泣かねぇ生き物だ」

「うん」



想羽さん、俺の息子、想羽さんの生まれ変わりだったりすんのか?



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