極悪彼氏
どうやらなっちゃんでもいいらしい。



待ってろと言われ、しばらく待つとどこからか長い棒を持ってきてくれた。



「何、それ」

「走り幅跳びのバー」

「ナイスです!!」

「取れるかわかりませんよ~?」



あたしより背の高いなっちゃんが必死に頑張ってカバンを落としてくれた。



超いい人っ!!



何度もお礼を言うと、なっちゃんは照れながら棒を戻しに行った。



さて、教室に戻るか。



そう思った瞬間、数センチ横に振ってきたのはあり得ないもの。



あたしのイスっ…。



当たってたらと思うと怖くなって動けない…。



「さっきのお返しだから!!」



ここまでやらなくたっていいじゃん!!



どうしよう、足が震えてる…。



若干涙目になったあたしの背後に人の気配を感じ、ビックリして振り返った。



「壮絶だな」

「コタっ…」

「お前まで死んだら寝るに寝れねぇ」

「見てた…の…?」



チラッとイスを見たコタローはそれを拾い上げた。



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