極悪彼氏
イケないことなのに、あたしのために怒ってくれたことが嬉しくて。



黙ってしまったあたしに、コタローは不機嫌な顔で近づいてきた。



「うおっ!!今の音ってコレか!!」

「カケル…」

「小田切さん!?なんでいるんスか!!まさか…小田切さんが…?」

「カケチン!!肝心なときにいないんじゃん!!」

「何があったんだよ!!」

「話はまた後で!!」



グイッとあたしを引っ張って、コタローは自分勝手に進んで行く。



教室に人が少なくてよかった…。



たぶんケガした人もいなかったみたいだし…。



「コタロー…」

「なんだよ」

「ありがとう…」

「何が」

「あたしなんかの為に…怒ってくれて…」

「誰がお前のために?」

「えっ!?違うの!?」

「学校休まれたら寝れねぇ」



そういうことですか…。



期待しちゃったじゃんか!!



「また寝てないの?」

「寝てる」

「じゃあ眠くないんじゃない!?」

「トータル2時間弱」

「うん、寝ようか」



あたしの負け…。



< 88 / 480 >

この作品をシェア

pagetop