極悪彼氏
その夜は眠れなくても気にならないくらい騒がしかった。



飲んで騒いで、朝が来るまで楽しかった。



「お前らと会えてよかった」

「「送ってくれてありがと~!!」」

「おぅ!!いろいろと頼んだぞ~」

「「またね~!!」」



梶さんが俺たち4人を送ってくれて。



ツキトとイズルが降りた車で、ゲンジは後部座席で寝てる。



「琥太郎」

「なに?」

「笑えよ、お前」

「笑ってる」

「笑えてねぇんだよ」

「…………」

「まぁ、一歩前進したってとこだろうからいいんだけど」



心配してくれてんだ、梶さん…。



俺は笑ってるつもりなんだけど…。



そこまで楽しいことがないのかもしれない…。



「ついでに言っとく」

「なにを?」

「渚、そろそろ落とす」

「ムリっしょ…」

「想羽のことは忘れなくていい。アイツに勝てる気もしねぇからな。就職決めて、ビシッと迎えに行ってやるよ」



スゲーな、梶さん。



昔から渚さんを好きだったのは知ってたけど。



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