宵闇の世界 -world of twilight-
柔らかな日差しで、麗藍はゆっくりと目を覚ます。


「起きたか?」

「スラスト…?ここ…は?」

「我の城だ。昨日気を失った麗藍をここへ連れてきた」

「…気を失った…?なぜ…?」

「麗藍?」

「……そういうことね…==は亡くなったの…ね?」

「記憶がないのか?」


スラストは目が覚めた麗藍を、悲しげに見つめた。
少しの違和感を感じていたが、それは==といるようになってから時々感じていたから特に気にはしなかった。
しかし、麗藍の今の状態から、記憶を失っている以上のことが彼女にはありそうだった。


「麗藍…もしや我の顔は…?」

「ええ…==のように見えるわ」

「そうか…」

「スラスト…もう『氷笑姫』は現れないわ」

「そうか…しかし。今のままでは…」

「力を貸して…彼女を止めるために。彼女の力を狙ったものに==は殺されたのだから」


今の麗藍は肝心なことを覚えていない。
しかし、それが彼女のためとスラストは少し考えて、小さくうなづいた。
ベッドから起き上がる麗藍に手を貸し、スラストと麗藍は向かい合う。
麗藍に視線を向ければ、小さく頷きが返ってきた。


「…っ…ぁ…」


右の首筋にチクリとした小さな痛みを感じた後、麗藍は体の芯が痺れるような感覚に声を漏らした。
甘くフワフワとした痺れは、まるで溶けてしまいそうなほどの快楽を、麗藍に与えていた。


「…はぁ…はぁ…」

「大丈夫か?」

「平気…慣れるまでとはいかないけど…経験…あるから」

「…そうか……」


スラストはただそう答えると、麗藍の目の前に紅い石を差し出した。
麗藍はそれを受け取ると、大事そうに仕舞った。


「身につけておけ」

「ええ…加工してピアスにでもするわ」

「それでも完全とはいえない」

「いいの…それでも…」


スラストの言葉に麗蘭は小さく微笑んだ。
その微笑みはなぜか悲しくなるようなものだった。
ギュッとスラストは麗藍を抱きしめた。
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