宵闇の世界　-world of twilight-
ドアを開けばそこには捺瀬と辰樹の姿があった。
ちょうど起きてきた所なのだろうか？
辰樹の短い髪はところどころ寝癖があった。
捺瀬はまだ眠そうに目をこすっていたものの、麗藍とスラストの姿を見ると目が覚めたようだった。


「麗藍、大丈夫ですか？」

「捺瀬、心配かけてごめん」

「元気になってよかったです」


捺瀬はそういって微笑んだ。
後ろにいた辰樹は安心してはいるものの、複雑そうな顔をしていた。
視線は麗藍の胸元に咲いた紅い華に向いていた。
麗藍は気にすることなく、リビングのドアを開けた。


「辰樹とスラストは座っててください」

「辰樹…？」

「あ、俺の名前」

「そう、辰樹。無事でよかったわ。いきなり心配かけてごめんね」


麗藍の言葉に辰樹は首を横に振った。
捺瀬と麗藍はキッチンへと消えていった。
スラストと辰樹は椅子へと座った。


「たぶんもう少しすれば、黒羽と蒼維がくるだろう」

「そっか」

「この世界のこと、我らのこと、辰樹の疑問、すべて答えよう。それから辰樹がどうするのか決めればいい」

「そうするよ」


捺瀬と麗藍が朝食を持って、リビングに戻ってきた。
紅茶とコーヒーが入ったガラスのポット。
数種類のパンの入ったかごに、スクランブルエッグとベーコン、サラダがのった4つの皿。
それらをテーブルの上に乗せて、二人は椅子に座った。


「まずは食事にしましょう」


捺瀬の言葉に黙って頷き、それぞれカップに紅茶なりコーヒーを注いだ。
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