宵闇の世界 -world of twilight-
「スラスト…?」

「倒れるぞ?そのままでは?」

「…でも…私は…」

「必要量だけ…そうだろう?今はその必要量すら足りていない」

「……」

「我に身を委ねろ…必要量だけ…飲め…あとは体のほうに送る」

「…スラストに大切な人ができたとき、後悔するよ?」

「しない。現段階でそれは麗藍だ。それが変わったとしても、今を後悔しない」

「…スラスト…」


麗藍はただスラストの胸に、顔をうずめた。
お互い恋愛とは違う関係。
それでもお互いが大切な存在であることは、二人ともわかっていた。
スラストが麗藍の顔を、自然と自分の首筋へと導く。
麗藍はそれに従い、スラストの首筋に口をあてた。


「…ふっ…」

「…!」


スラストの首筋に口をあてたまま、麗蘭はスラストによってベッドへと優しく寝かされた。
スラストの首筋から口を離せば、そのままスラストの唇と重なっていた。
角度を変え触れるだけの口付けを交わし、そっと口を開けば舌が滑り込んできた。
ただ熱に浮かされるように、麗藍はスラストにすべてを預けた。
肌を滑る少し冷たい手の感覚。
その反対に熱く感じる唇の感覚。
甘く痺れる感覚を全身に感じ、ただ熱に浮かされ、何かに満たされるように麗藍は意識を飛ばした。




スラストは自分の腕の中で眠る麗藍を見つめた。
素肌の麗藍の右の二の腕には、スラストが巻いた包帯があり、それだけでも痛々しく見えた。
実際彼女は心も体も、ボロボロだった。
彼女の白い肌には、スラストがつけた紅い華が咲いていた。
麗藍が生きていけるように…
お互い、大切な人ができても、二人の関係は変わることはない。
信頼という絆で結ばれた二人は…
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