古城のカラス
「あ、起きたっ」
ぽつり、暖炉の方から声がした。
セラは思わず目を見開く。
さっきまで誰もいなかったはずなのに、暖炉の前で少年が蹲っていた。
誰、と問う前に、この部屋の住人であろうと予想する。
少年はベッドに横たわるセラに駆け寄り、まぶしいくらいの笑顔を見せた。
「お早う、おねえさん。」
お早う、と返したくとも声が出なかった。
痰が喉に絡んでいる気がした。
「うんうん、無理はしなくていいからね。
一応手当てはしたけど…結構身体が冷えてたから、風邪とか引いてないかな?
どっか痛くない?
熱はないかな。
寒くない?
お腹空いた?」
セラは矢継ぎ早な質問にただ首を横に振るばかり。
甲斐甲斐しい少年が傷を手当てしたのかと、やけに冷静に考えていた。