古城のカラス
「ひとつ、聞いてもいいですか」
なあに、と応える代わりにホムラは頸をこてんと傾けた。
猫のように愛らしい仕草で。
「ホムラさんたちは人じゃないんですか」
こんな不躾なことを問うてどうするつもりだろう、自分でも根拠無く思ったのだが、どういう返答を願っているわけでも無く、思った儘を尋ねた。
少年はまた頬に苦笑を浮かべ、赤髪を掻き回しながら正答を探っている。
「少なくとも僕は、人じゃありません」
「そうなんですか」
曖昧な相槌を打つ。
見た目は人と変わらないことにだけ感心して、でも、そもそも『人たる』明確な『定義』を持ち合わせているわけではなかった。
同じ形をしていながら、ではセラとホムラの違いは何だろうか。
「生まれ方が違うんですよ」
「え?」
まるで彼女の疑問を透視したかのように、ホムラは虚ろな目をして応えを続ける。
それはまるで、なにかに憧れを抱くか、もしくは麻薬に侵された精神を思わせる瞳をして。