古城のカラス


その手首を掴み、シャツの襟首を掴んで足を掬い、背に負って少年の身体を火の付いた暖炉へと放り込んだ。


「あっ!!」


焼け死んでしまう。


反射的な勢いで走りだそうとしたセラを青年は肩に手を置いて制止した。



「彼は『火』だ」


「?」


その言葉の意図が読めず、セラは青年と暖炉の中を終始見比べている。


そのうちに、暖炉の火が風も無いのに大きく揺れ、真っ赤な塊の中から少年の細く浅黒い腕が伸びてきた。


純白の床に這いつくばって、咳き込みながらホムラが出てくる。



少し煤が付いているだけで、やはり火傷の跡は無い。



酷い人だ。



その横暴さに幾分か腹が立った。



近づいたその人から数歩、後ずさる。




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