古城のカラス
そんな話がいつもよりよく耳に入ってきていた。
普段なら聞き流して、音声としてのみ機能し意味を読み取るまでいかなかった貴族たちの話が、その話題はよく頭に入る。
嗚呼、父は殺されたのだ。
それも陛下に、国に。
そして唐突に浮かんだ疑問が、また傑作であると笑い物にした。
『私はなんのために生まれてきたの』
父の情事のために母は身籠り、そして私は産み落とされ…それを理由にするにはあまりにも惨い。
誰にも望まれずして生まれた赤子は、何故か生かされるために父に引き取られた。
兄姉の八つ当たりには良い人形であったろう、私はそのために生まれてきたのか。
それが神様が私に与えた役割ならば、私は生きることに望みは持たない。
ほら、彼らはもう死んでしまった。
私に役割は無い。
それなのにどうして私は生かされた。