古城のカラス




「泣きやんだか」



ベッドに突っ伏したセラの頭の上に、温かい掌が載せられた。


撫でたのではなく、声をかけるのに肩を叩くのと同じニュアンスで。


まるで水底を目指す魚が突如釣り上げられたかのような不快感に、彼女は返事をし損ねた。



「まだか」


ふう、と、溜息を吐いてベッドに腰掛ける。


ルークには彼女を慰める気なんて毛頭無いらしいのだ。


しゃくり上げる呼吸を必死に抑えようとする彼女の細い背中を、その男はただ冷淡な目で見下ろしている。



同情も無ければ煩わしさも無い。


無機質な彼の振る舞いがこの状況で正しいか否かさえ彼女には判別不可。


だって慰められたことなんて無いものね。




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