古城のカラス
「屋敷内を徘徊してもいい」
言い辛そうなぶっきらぼうな口調でルークはそう切り出した。
「ただし昼間の間だけだ。
日没を告げるチャイムが一日に一回だけ鳴るから、それを聞いたらすぐにこの部屋に戻ることだ」
いいな、と付け足したルークにどう返事をすればいいのかわからなかった。
はい、と答えたら、まるでそれを喜んでいるようじゃないか。
「……そんなに悲しいか」
突っ伏した彼女を眺めて、ルークは確たる意図も無いまま声が出てしまった。
さらに予期しないことに、セラが顔をあげて彼を見た。
睨むように。
「…いや、何でもない」
詮索は不躾。
そう判断して、ルークはベッドから腰を上げた。