古城のカラス
午後。
本当に空は曇り、虚空を旋回する鳥は影も気配も無くなった。
「変わりやすい天気でしょう」
ホムラは自嘲するように言う。
「こんな山の中でこれだから、なかなか訪問客のいないんですよ…って、来られても屋敷の門は開けられないんですけど」
それがなんだか悲しそうに見える。
「でも、昨日の方は?」
「彼ですか。
彼は、なんていうか…いろいろ説明し難い入口から入って来るんです。
大旦那様の許可がある人しか通れない扉なんですけどね」
「大旦那様って」
「父さんの父さんです、血の繋がった」