古城のカラス
どういうことですか、とセラが問う。
ルークは、その問いを鼻で笑って本を棚に戻した。
本の合間に押し込まれているそれは、小型化した父が圧死してしまう気がして、でも手は出せなかった。
だって父は死んだのだ。
「どうして父様が」
「ああ、お前の父親は死んだよ、身体はね。
でも命はまだ死ねてない、呪われた愚か者が川に戻る前に掬って閉じ込めてしまったからね」
「どうしてそんなことをっ…、それでは父は」
「助けたいか」
「………っ」
その一言は、闇に差し込む光りではない。
非情に心臓を突き刺す杭だ。