古城のカラス
「薔薇の棘は痛いだろう、これからはよく気を付けてね」
向こうから傷つけてくる薔薇にどうやって気をつけろと。
「申し訳ございません」
「謝ることじゃない、いつも有り難う」
白いガーゼで覆われたシルバーの傷。
父上自ら手を施して下さいましたが、その言葉も優しさも罪滅ぼしのつもりでしょうか。
「セラ、明日、ウエストエンドの田舎町に行くんだ。
君のお姉さまはひどく田舎嫌いだし、お兄様方も仕事だの学校だので忙しくて誰もついてきてはくれんのだ」
「休養ですか」
「うん、でも私一人では寂しくてね。
どうだ、一緒に行かないか」