古城のカラス
セラは、まだ空が明るいことに安堵して屋敷の庭に出向いた。
だけど生憎の雨なので、東屋で一人佇んで夜が来るのを待った。
毎日、夕日を見ては夜を怖がって涙を流す人がいるという。
彼女はその逆だった。
毎朝昇る太陽を見ては、一日に嘆いて誰にも知られない様こっそりと涙を流していた。
慰めてくれたのは母である。
毎日ボロボロの服を着て、朝から晩まで働いた。
翠色の裾に泥が付いていたこと。
それを見てどれだけ父を憎んだろう。
「助けるわけないでしょう」
ぽつり、呟いた言葉は雨音に静かに消える。