古城のカラス
次に音をたてたのは、穴倉の入り口から顔を覗かせるリス2匹だった。
中の乾いた葉を踏み、奥の少年と鳥の様子を注意深く確認して、2匹は一歩一歩侵入してくる。
「ガア、ガア」
鳥はリスに話しかけるように鳴いた。
2匹は顔を見合わせて、一匹はそのまま穴の中へ、もう一匹は出て行った。
少年の膝元まで近寄ると、リスは大きな黒水晶の瞳で少年を映した。
それから二、三ほど鳥と言葉を交わす。
やがて出て行った方のリスが戻ってきた。
今度はもっとたくさんの仲間を連れて、すっかり穴の中に入り込んだかと思うと、リスたちは頬から木の実を吐きだして穴の中で並べた。
ここで同じく雨宿りをするらしいのだ。
リス達は摘みあがった木の実の山を満足そうに見上げると、ふと一斉に入口の方を見た。
今度は白ウサギが長い耳を覗かせている。
ウサギもまた鳥と言葉を交わすと、背後からなにやら布の塊を引き摺ってきた。
どうやら人の落し物らしい。
少年の近くまでそれを持ってきて、ウサギはじっと少年を見詰めた。
…開け方を知らないのだ。
布の塊はボタンで塞がれていて、こじ開けようとしたウサギの爪跡が残っていた。
少年はおそるおそる手を伸ばして布の袋を開け、中の物をひっくり返した。
ゴトゴトと転がり落ちる大小様々な芋が散らばった。