古城のカラス
外の雨が余程強いのだろう。
リスやウサギなど、その後にも帰宅困難者となった森の住人たちが集まれるだけ集まって、食べ物を持ち寄って穴倉の中でひしめき合った。
少年はできるだけ場所を取らないようにと、膝をぎゅっと抱え込んで小さくなった。
ここに集まって夕食を始める動物たちを見て、少年は嬉しくてたまらず、愛おしげな眼で光景を眺めていた。
食えよ。
そう言っているかのように、鳥が木の実を咥えて少年の膝に乗る。
「ありがとう」
それを素直に受け取ると、少年は口の中で木の実をかみ砕いた。
食べたことの無い、不思議な味がする。
それを美味いか不味いかなどは考えず、初めて気遣われた嬉しさをじっくり味わって、少年は共に晩餐に参加した。
涙は疾うに枯れていた。
朝が来なければいいのに、否、このまま帰れずとも良くなればいいとさえ思う。