古城のカラス


やがて朝が来た。


少年は、大きな熊に抱かれ、リスとウサギを抱きながらすやすやと眠っている。


額を鳥につつかれ、びっくりして飛び起きた。


…朝だぜ。


差し込む陽光が恨めしい。


しかしながら、少年は腕の中の動物たちを降ろすと熊の手を解いて、動物たちを起こさないようにそっと穴の入口まで行って顔を出した。


…美しい景色だった。


新緑の木々は朝露に光を浮かべ、花や泉を煌めかせている。


感動して少年は穴から飛び出し、その綺麗な景色の中に駆け出して行った。



鳥が羽ばたいて付いてくる。


少年が泉の前で立ち止まると、鳥は少年の肩に留まった。


「綺麗だね」


泉の水面がゆらゆら揺れている。


固い鏡と同じように少年の姿を映しながら。



少年は、水面に映った自分と鳥の姿を見た。


なんだか逞しい勇者のよう。


少年が腕を組んで胸を張ると、勇者もまた真似をした。


「ガア、ガア」


鳥はまた呆れたように鳴いた。



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