死んだ瞳の綺麗な人間
あたしは
ドアを開けた。

そして
リビングに居るであろう
彼奴の元に向かう。

《ガチャ》

「お帰り。星羅。」

満面の笑顔で
迎えられた。

あたしは
目だけを向ける。

だが
彼奴は気にならないのか
ダラダラと話し始める。

あたしは
ひたすら無視。

だけど

「星羅は僕の婚約者だもんね。」

この言葉を
無視何て出来なかった。

婚約者?

あたしとアンタが?

意味分からない。

「あたしは「この婚約話しを断ると大事な弟の未来はないよ。」

大事な弟の未来?

空也の未来がない?

「どう言う意味よ。」

「そのままだよ。
ここ数年の
菅原家の状況は
カナリ悪い。
だけど
僕の家と組めば
菅原家は立ち直る。
簡単に言えば
菅原家は
星羅を佐伯家に売ったんだよ。」

「………。」

売った?

あたしを売った?

物じゃあるまし
そんな簡単に
売る買いする?

いや
あの人達なら
やりかねない。

あの人達にとって
あたしは
邪魔者で物だ…。

「ハハハッ」

乾いた笑いしか出ない。



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