社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
きっともう二度とあのブランドショップに行く事は出来ない。
私が持っているお金じゃ、例えパートをしたとしてもこの金額になるまで一体どれくらいかかるんだろう?
「あ、そういえば優子。この前ゆー坊が優子を探してたよ」
ゆー坊…?
「ゆー坊て言われても分からない?」
「名前聞けば分かるかも…」
「鈴木雄大って言えば分かる?」
鈴木――、鈴木雄大。
あっ、思い出した。
三年間ずっと同じクラスだった鈴木雄大。
学年で一番背が小さかったから皆にゆー坊って皆からそう呼ばれてたような。
「何で鈴木くんが私を?」
「ちょ、何でって…。ゆー坊は優子の事がずぅーっと好きだったからに決まってるじゃん」